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あの製品にも使われている!プラスチックに代わるエコ素材「パルプモールド」とは?

こんにちは、カネパッケージタイランドの鈴木です。

みなさんは、「パルプモールド」という言葉を聞いたことがありますか?

今世界中で、環境への配慮が求められる中、プラスチックに代わる持続可能な選択肢として注目を集めている紙製素材が、パルプモールドです。

 

今回は、パルプモールドを使ったエコ製品についてご紹介します。

 

パルプモールド?

パルプモールドとは、古新聞や古紙などのセルロース(植物由来の繊維)を使って作られる成形物のこと。

製品のパッケージや保護材などに使われることが多く、環境に優しい素材として注目されているのです。

パルプモールドの意義は、何と言ってもその環境への配慮にあります。

プラスチックや発泡スチロールの代わりに使われることが多く、

リサイクル可能で生分解性が高いため、地球環境への負担を減らすことができるのです。

実はパルプモールドは、皆さんにとって最も身近な製品にも使用されています。

パルプモールドにはどんな種類があり、がどのように作られるのか?

そして最も身近な製品とは一体なんでしょうか?

一緒に見ていきましょう!

 

ウェットモールド(Wet Mold)とは?

ウェットモールドは、複雑な形や細かいデザインが得意です。以下に特徴をまとめました。

特徴

• 柔軟性

湿ったパルプの柔らかさを活かし、複雑な形や細かなディテールを作るのに適しています。

• 効率性

湿った状態で成形できるため、比較的短時間で製品を作れる効率的な方法です。

• 用途

軽量で精密な製品、特にパッケージや保護材に最適。

 

ドライモールド(Dry Mold)とは?

一方ドライモールドは、乾燥した状態のパルプを使って形を作る製造方法です。この方法では、非常に高い強度と安定性を実現します。以下に特徴とプロセスをまとめました。

特徴

• 高い強度

乾燥したパルプを使用するため、衝撃や振動に強く、物理的な耐久性に優れています。

• 安定性

乾燥後のパルプは変形や収縮が少なく、長期間使用しても形状が崩れにくいのが特徴です。

• 用途

耐衝撃性や高い強度が必要な梱包材や保護材に最適。特に大きな製品や重いアイテムの保護に向いています。

 

パルプモールドの製造工程

次に、パルプモールドの製造工程を詳しく見てみましょう。

 

1. パルプの準備

パルプモールドの製造は、まず原料となる古紙(段ボールや新聞紙など)を

「パルパー」という機械に投入し、水と一緒に混ぜて繊維状にします。

これにより、パルプ(紙の繊維と水の混合物)が作られます。

この工程では、原料の種類や水分量によってパルプの特性が変わり、成形後の仕上がりに影響を与えます。

2. 抄造型への成形

次に、パルプと水の混合液を「抄造型(しょうぞうがた)」という型に浸け込みます。

この型は、液体が吸引されることでパルプが型の内側に積層され、

立体的な形状を作り出します。

抄造型は非常に精密で、細かな形状や模様まで再現できるため、複雑なデザインにも対応可能です。

 

3. 水分の除去(吸水)

パルプが型に積層された後、型からの水分が吸引され、パルプの繊維が結びついて強度が増します。

この過程により、パルプは固まり、成形された形状が安定します。

この段階では、まだ完全に乾燥していないため、素材は湿った状態です。

4. 乾燥

水分が除去された後、成形されたパルプは乾燥工程に進みます。

乾燥機を使って、残った水分を完全に蒸発させます。この乾燥工程により、パルプは強度と耐久性を持ちます。

 

この最後の成形工程で、ウェットモールドとドライモールドの違いが出てくるのです。

  • ウェットプレス(湿式成形)

ウェットプレスでは、パルプが湿った状態で型に成形されます。

パルプと水の混合液が型に吸引され、成形後は自然乾燥させるか、乾燥機で乾燥させて強度を増します。

この方法では、型にパルプが密着しやすく、細かいディテールが表現可能です。

また、成形中にパルプの繊維がしっかりと絡み合い、強固な形状を作るため、比較的柔軟で丈夫な製品が作られます。

 

  • ドライプレス(乾式成形)

ドライプレスでは、パルプがほぼ乾燥した状態で型に成形されます。

湿気を含まない乾いた状態でパルプを型に押し込むため、成形後は乾燥工程を経て強度が増します。

乾燥した状態で成形するため、最終的な製品は硬く、

強度や耐久性が高くなります。主に耐久性を重視する製品(例えば、丈夫な包装材や重い物を入れるパッケージ)に適しています。

これで、パルプモールドがどのように作られるかがわかりましたね!

 

ウェットモールドの製品代表例

ウェットモールドは、精密な成形が可能なため、

特にデザインや細かなディテールが重視される製品に利用されることが多いです。

冒頭で皆さんの最も身近な製品に使用されているとお伝えしましたが、その製品とは、iPhoneのパッケージでした!

あのプラスチックのようにサラサラとしたパッケージ、実はウェットモールでなんです。

iPhone以外にもウェットモールドはたくさんの製品に使用されています。代表的なものをご紹介しましょう。

 

iPhoneパッケージ

Appleは、iPhoneのパッケージにウェットモールドを採用し、

環境への配慮を強化しています。ウェットモールドは精密に成形され、

iPhoneをしっかりと保護しながらも軽量で、プラスチックを減らすことができるため、

サステナブルな選択肢として評価されています。

加えて、開封時に感じる紙の質感が心地よく、エコ意識の高い消費者にとって好感度が高いです。

 

化粧品のパッケージ

高級化粧品や香水などのパッケージにも、ウェットモールドが使われています。

精緻なデザインや複雑な形状が求められるこれらのパッケージにおいて、

ウェットモールドは細かいディテールを忠実に再現することができ、

製品の高級感を保ちながらも環境負荷を軽減します。

ブランドのイメージを損なわず、

エコフレンドリーなパッケージを提供するため、近年、特に注目されています。

 

高級ギフトパッケージ

高級な贈り物や特別なギフトのパッケージにも、

ウェットモールドが利用されています。

例えば、ジュエリーや時計、限定版の製品などの包装には、

精密で美しいデザインが求められます。

ウェットモールドは、細かな装飾や複雑な形状を正確に作り出せるため、

ギフトパッケージとしても非常に適しています。

消費者にとっては、製品を包むパッケージそのものが贈り物としての価値を高め、

環境への配慮を感じさせるものとして好まれています。

 

最後に

パルプモールドは、私たちが普段目にすることは少ないかもしれませんが、

環境にやさしい素材として、さまざまな分野で活躍しています。

リサイクル可能で生分解性の高いパルプモールドを使用することで、

プラスチックなどの使用を減らすことができ、地球環境を守る一助となるのです。

これからもますます注目される素材となることでしょう!

 

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